昔話『さるかに合戦』のあらすじや伝えたいこと。道徳的・平和的解決シナリオなど考察

2024/06/10

童話・寓話 読み聞かせ

X f B! P L ブログランキング・にほんブログ村へ

 みなさん『さるかに合戦』という昔話を覚えていますか?いろんな読み方ができると思いますが、主に【正義と復讐】【善行と悪行の報い】がテーマの物語だと思います。以下、このお話のあらすじやメッセージ、また、現代的にアレンジした平和的解決シナリオなど、色々考察をまとめていきたいと思います。

簡単なあらすじ(要約)

蟹を騙して怪我をさせた猿が、蟹とその仲間たちによって復讐される物語。最終的に猿は自分の過ちを認め、蟹たちと和解する。

詳しいあらすじ

昔々、あるところに猿(さる)と蟹(かに)いました。二人は友達でした。ある日、蟹がおにぎりを持って歩いていました。猿はおにぎりが欲しくて、自分が拾った柿の種と「交換しよう」と蟹に持ちかけます。蟹は素直に応じて、おにぎりを猿に渡し、柿の種を受け取りました。

蟹は家に帰り、早速柿の種を植えました。すると、あっという間に芽が出て、木は成長し、たくさんの柿の実がなりました。蟹は喜びましたが木に登れません。そこに猿がやってきて手伝ってあげると言いました。猿は木に登って柿を取りましたが、蟹に渡さず、熟した美味しい柿を全部自分で食べました。そして、まだ青い固い柿だけを蟹に投げつけました。その青い柿は蟹に当たり、蟹は大けがをしてしまいました。

その後、蟹の子どもたちが母蟹の怪我を見て悲しみました。彼らは母蟹の仇を討つために、仲間を集めることにしました。蜂、栗、臼、牛の糞などの仲間たちが集まり、猿を懲らしめる計画を立てました。

ある日、猿が家に帰ってくると、蟹の仲間たちが待ち伏せしていました。猿が火にかけられた鍋で栗を焼いていると、栗が爆ぜて猿を驚かせました。驚いた猿は蜂に刺され、痛みに耐えられず家の中に逃げ込みました。そこで臼が天井から落ちてきて、猿に大きな怪我を負わせました。さらに、猿が庭に逃げると、牛の糞に足を取られて滑り転びました。最終的に、猿は逃げ場を失い、蟹たちの前にひれ伏すことになりました。

蟹の仲間たちは、猿が自分の行いを深く反省するように説得しました。猿は自分の過ちを認め、蟹に謝罪しました。そして、蟹たちは猿を許し、再び友達として共に暮らすことを決めました。

※このあらすじは、現代ver.です。Wikipediaによると、昭和末期以前は、母蟹も猿も、どちらも死んでしまっているようです。そっちver.のあらすじはWikipediaに載っています。

この作品が伝えたいこと

因果応報

猿は蟹を騙して、熟した柿を独り占めし、青い柿を投げつけて蟹に怪我をさせました。最終的に、猿は蟹とその仲間たちから報復を受け、大きな痛みと苦しみを経験します。悪い行動はいつか自分に返ってくるため、常に正しい行動を心がけることの重要性を学べます。

友達を裏切ってはいけない

猿は蟹との約束を破り、柿の実を独り占めにしてしまうという裏切り行為を行いました。それだけではなく、青い実を投げて怪我までさせました。そして報復を受けます。このことから、信頼関係を壊すことのリスクと、それが友人や他者にどれだけの痛みや悲しみを与えたのかを学ぶことができるかと思います。

協力と団結の力

蟹は仲間たち(蜂、栗、臼、牛の糞)と協力して猿に立ち向かい、正義を実現しました。困難な状況においても、仲間と協力し、団結することで大きな力を発揮できることを示しています。個々の力ではなく、チームワークの大切さを学ぶことができます。

謝罪と和解の価値

最終的に、猿が自分の過ちを認めて蟹に謝罪し、蟹たちと和解しました。過ちを認め、心から謝罪することの重要性と、それによって関係を修復し、再び友好を築くことができることが学べるかと思います。

正義の実現

蟹の子らは報復を通じて、猿に自らの悪行を反省させました。悪い行いに対しては必ず報いがあり、正義が最終的に勝つという信念を持つことの大切さを学べます。また、正義を貫くためには勇気と決意が必要であることも、この物語は示しています。

以上、このお話が伝えたかったことはこんな感じなのだろうな〜ということをまとめました。
しかし……今の時代、これをそのまま「なるほど」と受け取っていいのかというと、ちょっと疑問です。令和の今、「やられたらやり返せ」なんて教育をしてはいけませんよね。二児の親として悩ましいところ。以下、子どもたちにどう教えていけばいいかについて考えていきます。

この作品を子どもたちにどう説明すればいいか

現代の視点で読むと、『さるかに合戦』は暴力や報復の物語として読めてしまいます。そのため、これをこのまま読み聞かせしてしまうと、幼い子は「やられたらやり返してもいいんだ!」と思ってしまう場合もあると思います。イカンイカン(汗)。
ということで、読み聞かせしながら、大人が猿のよくないところ、蟹のよくないところを子どもに聞き出してみるなど、補助が必要となる作品であると私は思います。
『さるかに合戦』には多くの教育的な要素が含まれています。特に、問題解決のための協力、責任の重要性、仲間の支援。これらを子どもに教えるにはとても役立つ物語であるのは確かです。でも、それだけでは補助にならない。んじゃどうしたらいいんじゃ。てなことで、子どもと一緒に、もっと平和に解決する方法はなかったのか考えてみるのがいいのではないかと思います。以下、平和的解決シナリオ、ヒウィゴ。

令和時代の平和的解決シナリオ考察

パターン①:村の長老に相談する

蟹が怪我をした後、蟹の仲間たち(蜂、栗、臼、牛の糞)はすぐに攻撃するのではなく、村の長老に相談しました。長老は事情を聞き、猿を呼び出して対話の場を設けました。 
長老:「猿よ、蟹が怪我をしたことについて話し合いたい。君は柿を独り占めし、蟹に青い柿を投げつけたそうだね。」
猿(反省して):「はい、その通りです。自分が悪かったと感じています」 
蟹:「猿さん、私も熟した柿を食べたかったのです。どうしてそんなことをしたのですか?」 猿:「欲張ってしまいました。ごめんなさい。これからは一緒に柿を分け合いましょう」 
長老:「それでは、これからは収穫のときはみんなで協力して、公平に分け合うことにしましょう」 
 蟹と猿はお互いに謝罪し、仲直りしました。村全体で協力し合うことの重要性を学び、平和な生活を続けることができました。

パターン②:警察官を介入させる

蟹が怪我をした後、蟹の仲間たちはすぐに村の警察署に行きました。警察署には、村で尊敬されるフクロウの警察官がいました。
蟹:「警察官さん、猿に柿の実を取ってもらったのですが、熟した柿を独り占めされ、私に青い柿を投げつけられて怪我をしました」
フクロウの警察官:「それは大変なことです。すぐに猿さんを呼んで事情を聞きましょう」
フクロウの警察官は猿を呼び出し、蟹の訴えを説明しました。
フクロウの警察官:「猿さん、蟹さんが言うように、あなたが柿の実を独り占めし、蟹さんに怪我をさせたのですか?」
猿(反省して):「はい、その通りです。自分が欲張りすぎました。蟹さん、ごめんなさい」 
フクロウの警察官:「猿さん、あなたの行動は不公平であり、他者に危害を加えました。あとのことは署で聞きます」
猿:「ウキーッ😭」

パターン③:猿をカウンセリングに連れて行く

アライグマのカウンセラー:「蟹さん、猿さん、今日はお互いの話を聞いて問題を解決する方法を見つけましょう。まずは猿さん、あなたがどのように感じているのか話してみてください」 猿(ためらいながら):「私は、蟹さんに対して本当に悪いことをしました。でも、正直なところ、なぜそんな行動を取ったのか、自分でもよくわかりません」
アライグマのカウンセラー:「猿さん、その気持ちをもう少し詳しく話してもらえますか?あなたの行動の背後に何か心の傷や過去の経験があるかもしれません」
猿(深呼吸して):「実は……私の幼い頃の話を聞いてください。私の家族はとても貧しかったんです。いつも食べ物が足りなくて、兄弟たちと奪い合うようにして食べていました。そのせいで、何かを手に入れると、それを独り占めしたいという気持ちが強くなってしまったんです。そうです。蟹さんが持っていたおにぎりを持っていたときもそうでした。兄弟たちと奪い合い、騙し合い、1つのおにぎりを……うっ、うっ……」
アライグマのカウンセラー:「それは辛い経験でしたね。幼少期のトラウマが現在の行動に影響を与えているのかもしれません。そのことを蟹さんにも話してみませんか?」
猿(蟹の方を向いて):「蟹さん、ごめんなさい。私があんなことをしたのは、子供の頃の貧しさや飢えの経験が影響しているんだと思います。でも、それはあなたに酷いことをして良い理由にはなりません。本当に反省しています」
蟹:「猿さん、そんな過去があったとは知りませんでした。でも、あなたが反省しているなら、私は許します。一緒に協力していきましょう。わけっこで食べる幸せを、これから覚えていきましょう。宮沢賢治は言いました。"世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない"と。あなたが悲しい顔をしていると私も悲しい。あれ、ちょっと何言ってるかわからなくなってきました」

まとめ

『さるかに合戦』は教育的に素晴らしい作品だと思います。現代アレンジしてみるのも楽しいです。ではでは、最後まで読んでいただきありがとうございました(シナリオづくりで息切れ)。

Translate

連絡フォーム

名前

メール *

メッセージ *

QooQ