『星の王子さま』のあらすじ、伝えたいこと、6つの星の意味、考察など

2024/05/02

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はじめに

サン=テグジュペリによる『星の王子さま』は、発表から約80年が経った今でも、世界中の読者に愛され続けている不朽の名作。この作品は、一見子ども向けの物語のようですが、実は子どもにも大人にも等しく深い教訓と魅力があふれています。子ども向けの物語とは思えない、抽象的で哲学的な内容が随所に散りばめられており、我が家の6歳の娘には理解が難しい部分も多くあるようです。しかし一方で、ファンタジーの世界を舞台にした王子の冒険という物語の側面は、子どもの想像力を掻き立てるに十分な魅力があります。 本作品が長く愛され続けている理由は、単なる児童文学を超えた、人間が本来持つべき価値観を問うメッセージが込められているからだと言えます。
ここでは、子どもにも大人にも等しく愛される『星の王子さま』の奥深い魅力、星の意味、作者が伝えたいことetc...について考察します。

あらすじ

物語は、砂漠で飛行機が故障した飛行士が不思議な小さな王子に出会うところから始まる。王子は自分の惑星から旅に出て、様々な星を渡り歩く。そこで、大人たちの愚かさや偽善を見抜いていく。

最後に地球に来た王子は、大人には分からない大切なことを教えてくれる。それは、目に見えないものの方が大切で、心で見ることが肝心だということだった。

飛行士は王子の姿を見失うが、王子の言葉から真の愛と友情の意味を学ぶ。王子は飛行士の心に永遠の思い出として残り、私たち読者に愛と人生の本質的な価値を伝える。

出てくる6つの星の意味

「星の王子さま」には、王子が旅した様々な星が登場します。主なものとして以下の星が描かれています。

王様の星

おごり高ぶった王様が、ただ威厳を保つだけの小さな星。

うぬぼれやの星  

ナルシストの自惚れ屋が、自分が世界で一番偉大だと思い込んでいる星。

仕事熱心の星

夜な夜な電気をつけたり消したりする役割の男がいる星。

地理学者の星

地図を書く地理学者がいるが、実際には何も調査せずに居る星。

酒飲みの星

酒をたくさん飲んで酔っ払っている男がいる星。

実業家の星

ずっと仕事ばかり、星とお金をひたすら数える実業家がいる星。


このように、さまざまな星が登場し、それぞれの住人の人格や行動を通して、人間の愚かさや偽善が描かれています。これらの星は人間が最も溺れやすい、権力、人気、労働、快楽、財力、学問を象徴しています。王子はこれらの星を渡り歩き、人間の本質を見抜いていきます。

この作品から学べること

星の王子さまから学べることは数多くありますが、ここでは主な7つをあげます。

本質を見抜く目

王子は、目に見えるものにとらわれず、人や物事の本質的な部分を見抜く大切さを教えてくれます。

愛の大切さ

王子は、愛される存在であることと、自ら愛することの大切さを説いています。

責任感

王子は自分の星の薔薇に対する責任を重んじ、それが大切だと伝えています。

想像力の重要性

大人は想像力を失っているが、子供は豊かな想像力を持っていると指摘し、その大切さを示唆しています。

素朴さの尊さ

王子の素朴な考え方や行動から、純真さや率直さの価値を学びます。

友情の尊さ

飛行士との出会いを通して、真の友情の意味と大切さが教えられています。

人生の本質的価値

この物語全体を通して、物質的なものよりも、愛や友情、責任感など、人生の本質的な価値が説かれています。

筆者(ブログ主)のお気に入り、好きなシーン

星の王子さまの物語の中で、私が最も印象深かったのは、酒飲みの星と電気係の人がいる場面です。この2つのエピソードは、現代社会の病理を的確に象徴していると感じました。

まず酒飲みの星では、王子が出会った男性は、酒に酔っぱらっていました。自分の飲んでいる酒が自分の人生の意味であり、唯一の目的であるかのように語っています。しかし、それは本当の生きがいでは無いと思います。この男性は、本当の幸せを見失い、一時の快楽に溺れている様子が描かれています。現代社会でも、このように本質的な幸せを見失い、一時的な満足感に囚われている人は多いと思います。

一方、電気係の星には、夜な夜な電気をつけたり消したりする役割を与えられた男がいました。しかし、その仕事の意味が全くわかっていないばかりか、自分の行動を疑うこともありませんでした。ただ機械的に仕事を続けているだけの人間という姿は、現代社会での仕事上の無機質さや無意味さを連想させます。多くの人が、与えられた仕事に疑問を感じることなく人生を送っているのかもしれません。

これらの場面は、人間が本当の幸せや生きがいを見失い、無意味な行動に没頭する危険性について考えさせられるシーンだと思います。サン=テグジュペリは、酒や仕事に逃避するのではなく、人生の本質的な価値を見つめ直す大切さを説いているのだと思いました。物語全体が伝えているメッセージは、愛や友情、責任感、想像力など、人間らしい尊厳を持ち続けることです。

サン・テグジュペリが伝えたいことって?

サン=テグジュペリは、この作品「星の王子さま」を通して、人生の本質的な価値や人間らしさについて、深い洞察を伝えようとしていると感じます。

まず第一に、作品全体から伝わるのは、愛する心の大切さです。王子は自分の星の薔薇を愛し、そのために責任を持とうとしています。また、飛行士との出会いを通して真の友情の意味を学びます。サン=テグジュペリは、物質的な富やステータスではなく、愛する心こそが人生の本質的な価値であると説いているのです。

さらに、作品は想像力の重要性を力説しています。この作品に出てくる大人たちは現実的であることを重んじ過ぎて、想像力を失ってしまっていますが、子どものような想像力こそが大切だと王子は伝えます。想像力は新しいものを生み出す源泉であり、人間性の根源でもあるため、決して失ってはいけないと作者は説いていると私は感じます。

また、人間が本当の幸せを見失い、無意味な行動に囚われてしまう危険性も描かれています。酒飲みのように一時の快楽に溺れたり、電気係のように機械的な行動に没頭したりする様子が描かれ、そうした生き方の虚しさが浮き彫りになっています。

さらに、作品は物事の本質を見抜く大切さを説いています。王子は花や羊、人間関係の本質を直観的に看破します。サン=テグジュペリは、物事の外見にとらわれるのではなく、本質を見極める目を持つことの重要性を伝えようとしています。

このように、『星の王子さま』は愛、想像力、幸せの本質、物事の本質など、人間らしく生きるための根源的な価値観を問いかけています。サン=テグジュペリはこの寓話を通して、現代文明社会で失われがちな人間性の重要さを訴え、心の豊かさや人間らしさを取り戻すことを促しているのだと思います。

まとめ

「星の王子さま」は、物語の表面的な魅力だけでなく、内包される深い哲学性が素晴らしい作品です。

サン=テグジュペリは、抽象的な概念を具体的なファンタジーの世界に投影することで、子どもにも親しみやすい作品を創り上げました。王子の冒険に子どもは強く引き込まれ、同時に大人にも人生の本質的な価値が問いかけられています。

うちの娘にはまだ難しいようですが、それでもこの作品が大好きです。子どもにすれば、単語の意味や比喩の理解には課題がありますが、大人が適切な解説を加えることで、子どもも作品の奥深い魅力に気づくことができると思います(キツネと薔薇のシーンは理解できているっぽいです。今回全然触れられていませんが←)。

この作品は、子どもから大人まで、あらゆる世代が楽しめる不朽の名作。物語を通して伝えられる「愛」「想像力」「責任」といった普遍的な価値観は、いつの時代も人々に寄り添い続けるメッセージだと思います。

ではでは。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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