絵本のプロフィール
あらすじ
こんは、あきのおばあちゃんが作ったキツネのぬいぐるみです。あきが成長するにつれ、こんは古びて、腕がほころびてしましました。あきはこんを治してもらうため、こんと一緒におばあちゃんの家にでかけます。あきは、電車でこんとはぐれたり、犬に連れさられたこんを探したりと、何度も大変なめにあいます。こんとあきは無事におばあちゃんの家にたどりつくことができるのでしょうか?互いがかけがえのない存在であるこんとあきの冒険の物語。ー こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)
母は泣いてしまうのに、娘は笑う不思議な本
※以下、ネタバレ含みます。
娘はこんが大好きで、読み聞かせするたびに 「こん可愛いね〜」と言って目を細めます。もう5回ぐらい図書館から借りてきて読んでいるのですが、毎度集中して聞いてくれる絵本作品。
こんはあきの友達。動けるし喋れます。私も子どもの頃は、自分でぬいぐるみに命を吹き込んで、本当に友達のようにして遊んでいました。娘は、こんがドラえもんのように本当に動いてしゃべっているんだと読み取っているようですが、私はあきの想像力がこんを動かしているのだろうと思いながら読んでいます。だからあきが成長して、こんを追い越していく姿をみると「ああ、今はまだ仲がいいけれど、いつかこんから離れてしまうときが来るのだろうな」と胸がチクッと痛くなります。「こんが動かなくなる日も近いのかもしれない」とか思ったりして。
しかし、そんな感覚が4歳の娘にわかるはずもなく──こんがほころびてしまったり、犬に咥えられてどっか行っちゃったり、といったシーンをみて「あはは。おもしろいねー」と言って笑っています。いちばん笑うのは、こんのしっぽが新幹線の扉に挟まってしまい、動けなくなっているところ。私はそこでホッとするんですけどね。ちゃんと挟まってそこに居てくれてよかった、と。
『こんとあき』はこわい? 私なりの考察というか解釈というか
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Googleで『こんとあき』と検索するとサジェストに【こわい】とでてきます。それを確認してから今一度読んでみましたが、こんが鳥取砂丘の砂の中に埋められたシーンは確かにちょっとこわいかな?と思ってしまいました。
というのも、その穴の中に埋まっていたのは、こんだけではなく、革靴と眼鏡と謎の物体……。え? どういうこと???
ここから先は私の勝手な想像というか考察というか解釈というかになってしまうのですが──こんは以前にこの砂丘で何かよくないことがあったのではないかと思います。というのも、あきが砂丘に行きたがったとき「すなに、ちょっとあしあとつけるぐらいなら」と微妙な返事をするんですよね。しかしこんは何が起こったかは覚えていない。ただなんとなく、嫌な予感だけがする。
到着すると松林のほうから犬がやってきて、クンクンにおいを嗅いだと思うと、こんを咥えて消えてしまいます。こんは革靴と眼鏡と謎の物体が埋められていたエリアに一緒に埋められてしまいました。
犬って、飼い主のにおいがついたものを集める収集癖的なところがあります。それを思うに、つまりは眼鏡と革靴の持ち主=こん、なのでは? と私は考えました。靴と眼鏡が砂丘に埋まってるって、絶対持ち主、事件か何かに巻き込まれていますよね(そんな怖いことを考えるのはやめなさい←)。
ええと。話を戻して──この犬は? ──こんは忘れてしまっている、というか、犬だけが覚えているのだと思いますが、以前、こんの材料(布)を身につけていた人が仲良くしていた野良犬なのだと思います。こんをつくったのは、あきのおばあちゃん。つまり、おばあちゃんは──これは絵本に描かれていることではないので私の妄想なのですが、亡くなったおじいちゃんの服を使ってこんを作ったのだと思います。だからおじいちゃんとこの犬、おじいちゃんの生前とても仲良しだったんじゃないのかなあ、と。ホント、勝手な想像なんですけどね。
でも、そう想像させちゃう余地があるっていうのもこの本の魅力だと思います。読めば読むほどに優しくて、深い。ちなみに五味太郎さんは「こんはお父さんのメタファーではないか」と考えていらっしゃったようですよ。
しかし、こんをおじいちゃんだと思って読むと、とたんにこの作品が『スクラップ・アンド・ビルド』っぽくなってきます(笑)。あ、違うか。
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